・霊妖記とは
「辺境を遍歴した旅の僧坊達が見聞したという事物を編纂した地理書。全十二巻から成る。十二人の僧は別の時代、別の土地に生まれ、全く面識が無いのにも関わらず、まるで示し合わせたかのように草案作成に取り掛かったという所が、一部の好事家や趣味人達の人気と注目を呼んでいる。実際にこの書が成立したのは秦朝末期の頃とされる。その内容と云えば、悠遠各地の動植物や鉱物、伝説上の人物や妖魅異形の類について言及されている。歴史的事実に基づく資料としての価値は殆ど無く、その評価は、あくまで当時の伝説的地理認識を表す「奇書」という扱いに留まる。」

                      民明書房刊 『奇書にみる古代中国の歴史地理研究』より


鯱。魚虎。水妖。人魚の一種とされる。
霊妖記 巻之八 赤心道人編 「その獣、かたちは魚で虎の顔に獅子のたてがみ、悍しい四肢と鋭い棘(背鰭)を持つ。
尾ひれは常に天へと向けれる。」


鯱の話・異種婚姻譚